公立入試は教科書からしか出題されない

以前のブログで、公立高校の入試問題の特徴の一つとして、公立の入試問題は様々な難易度の問題が一つの答案用紙の中に入っているというお話をしましたが、ここではさらに違った角度で公立高校の入試問題について触れてみたいと思います。

結論から申し上げると、公立の入試問題は「文科省の指導要領」つまり、文科省の指定した教科書の範囲内からしか出題されないということです。
そんなの当り前じゃん、と思うかもしれませんが、ここが意外と盲点になっています。

そもそも入試問題によって難しい問題と易しい問題というのがありますが、何をもってして難しいのか、または易しいのか。
教科書の範囲内でしか出題されないのに、なんで問題に難易度が生じるのかということです。
だって教科書って、なるべく平易な言葉でわかりやすく書かれている分、簡単そうに見えますよね。なのになんでそこから難しい問題が出てくるのでしょう。
考えたことありますか?

難しいのではなく難しく思わせるように作ってある

これは難しいのではなくて、難しく思わせるように作ってある場合がほとんどなのです。

具体的な例を見ていきましょう。

理科の問題集の事例


まずこちらが理科の問題集によく出ている湿度の問題です。

詳細は省きますが、この練習問題の(5)でいえば、湿度を求める公式を知っていれば解くことができます。

公立入試の事例

それに対してこちらが実際の公立高校の理科の入試問題です。
この(3)の湿度の問題を正解するには、①この実験は何をやっているのか理解する、②実験結果から発生した水蒸気量をわりだす、③グラフを見てもとあった水蒸気量をわりだす、④全体の水蒸気量がわかれば湿度の計算式に当てはめる、といったようにいくつもの段階を経て正解にたどりつくわけです。

公立の入試問題ができるようになるためには、ただ飽和水蒸気量の公式を覚えて答えを出すのではなくて、「湿度とは何か」という湿度の概念を理解できるかということにかかっています。

問われていることはシンプル

問われていることは、すごくシンプルだったりします。
この場合で言えば、「空気中に含むことができる水蒸気量は気温によって変化する」ということですが、問題の出題者はその概念がきちんと理解しているかどうかというアプローチの仕方で問題を作っています。
湿度の計算式を暗記しているかだけをきりとって出題するわけではないのです。

ですので、湿度=計算という型にはまった勉強しかしていない生徒、機械的に湿度の計算の公式を覚えてその出し方だけを練習している生徒にとっては、違った出方をしている問題、つまり自分にとって見慣れない問題はすべて難しい問題、ということになってしまいます。

公立高校の入試問題で難しいと感じる問題があるとすれば、出題内容の核心部分をよく理解していないということになります。
もっと言えば表面的な問題の解き方だけで終わっているということです。

カギは出題者目線

ではどうすればいいのでしょうか。

過去問などを解いて練習するときに、問題の出題者の気持ちになって問題を見てみることです。そうすると面白いことに、各問題に対する出題者の意図というかねらいのようなものが分かってきます。
「そうかこの問題で出題者はこのことをきいているのか」
ということが分かってきます。

もっと発展的に自分が試験問題を出題する立場であれば、どういう問題をつくるかという視点で見ていくと、より理解が深まります。

つまり、問題を自作するのです。

自作で問題を作るという点では、数学の連立方程式の文章題などはとりかかりやすいかもしれません。 代金の問題や速さの問題などジャンル別に自分で問題を作ってみるのです。そうするとより深い理解が得られることに気づくはずです。

歴史の用語に関して友達同士で問題を出題しあうのも効果的です。
出題する問題の精度を上げることによって、問題を出題する人も勉強になります。

まとめ

まとめるとこうなります。

公立高校の入試問題は、教科書の範囲内からしか出題されない。
だから難しい問題があったとしたら、それは習っていないから難しいのではなく、問題の出し方のアプローチが今までとは変わっている問題、つまり新傾向の問題であるということ。
しかも、実際の問題出題者である教育委員会の先生方は、なるべく過去に類例がないような新傾向の問題を作ろうと努力されています。
また、教科書の範囲内からの内容なのに、一見したところ今までと違ったような問題に見えてしまうのが、公立高校の入試問題の特徴ということになる。

さらに言えば、少し問題の傾向が変わっただけで途端にできなくなる人は、表面的なやり方だけを覚えていて、学習しなければいけない核心部分をつかんでいないことになる。

どうすれば良いのか。

今までなじみがないような問題が出てきても解けれるようになるためには、出題者の「ねらい」は何なのかという出題者の視点で、問題を解くということです。
そのためには、「自分だったらどういう問題を出す」といったように問題を自作してみるのもいいでしょう。

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